カボスとは、大分県特産のかんきつ類です。
果汁をしぼって料理や飲み物に入れ、酸味や香りを楽しみます。
本サイトでは、そんなカボスにまつわる情報を、色んな視点から紹介していきます。
カボスの見た目
色は濃い緑色で、断面は透き通った薄黄色をしています。
大きさはすだちとゆずの間くらい。
皮に張りとツヤがあり、持ったときにずっしりと重みを感じるのが良いカボスです。
香りと酸味を楽しむために、未熟な緑色の状態で収穫します。
熟したカボスはとてもきれいな黄色です。
どこが違う?カボス、すだち、へべす、シークヮーサーをまとめて比較!⇒
カボスの味
かんきつ類の中でもレモンやカボスのように酸味が強く、果汁をしぼって使うものを「香酸柑橘(こうさん かんきつ)」といいます。
ゆずやすだち、シークヮーサーも香酸柑橘の仲間です。
カボスはそんな香酸柑橘の中でも甘味が強く、よく「まろやかな酸味」と言われています。
さらに、カリウムやナトリウムといったミネラルに由来する、苦味・塩味もバランス良く含まれているため、酸味がとがっていません。
強い酸味が苦手な人にこそ是非チャレンジしてほしい果物です。
そんなカボスは「なんにでも合う料理の名脇役」として地元大分で深く愛されています。
焼き魚はもちろんのこと、お肉やうどん、刺身に味噌汁、さらには焼酎まで、料理本来の味を邪魔せず、うまく引き立ててくれます。
私のおすすめはビールにカボス果汁を数滴しぼった「カボスビール」。
香りがさわやかになってとても飲みやすくなります。特に成人したばかりでまだビールが苦手…という方におすすめです。
カボスの成分
カボスには酸味の元となるクエン酸がレモンの約2倍も含まれています。
クエン酸は食べたものをエネルギーに変えるために必要な栄養素です。
また、細胞の修復を進めてくれるので、疲れを取ったり筋肉痛を減らしたりする効果もあります。
ビタミンCもカボスに多く含まれている栄養素の一つです。
ビタミンCはコラーゲンを生成して細胞と細胞をしっかりくっつけたり、白血球を強くして体の免疫力を強くしたりするなど、いろいろな効果を持っています。
さらに、香りの成分であるリモネンやピネンには、リラックス効果の他、血行促進による冷え性の予防や、食欲を増進する効果が期待できます。
香りの成分は皮の部分に含まれているので、しぼるときは皮を下にしてしぼると、いい香りがより際立ちますよ。
カボスの生産
農林水産省の調査によると、2015年のカボスの収穫量は5,588t。
そのうち5,500tが大分県産のもので、次いで愛媛県産が41t、福岡県産が25tと続いています。
実に98%が大分県産です。
下のグラフはここ40年間のカボスの収穫量です。かなりジグザグしていますね。
それは、カボスには表年と裏年というものがあるからです。
表年は実がたくさんなった年、裏年は実があまりならなかった年です。
実がなりすぎても価値が下がってしまうし、翌年の収穫量も減ってしまいます。
毎年同じくらいの実がなるようにするには、表年に花やつぼみを取り除いて、あえて実のなる枝を減らすといった工夫が必要になります。
カボスの旬
カボスの旬は8月中旬~10月です。果汁の質・量とも最高で、最も風味の豊かな時期です。
ビニールハウスなどを使わずに外で育てる方法を露地栽培(ろじ さいばい)といい、露地栽培で育てたカボスの出荷時期が旬とされています。
10月~3月は、旬の時期に収穫したカボスを特殊な方法で貯蔵し、緑色と香りを保ったカボスを出荷します。
3月~8月は、ハウスで栽培されたカボスが出回ります。
カボスの品種
大分県で作られているカボスのうち、約85%が「大分1号」という品種です。
そのほかに、緑色が濃くてクエン酸が多い「豊のミドリ」や、種が少なく果汁の多い「香美の川」・「祖母の香」があります。
大分1号 (85%)
- 重さ:80~100g
- 広く出回る一般的な品種
豊のミドリ (12%)
- 重さ:80~100g
- 緑色がとても濃い
- クエン酸が多い
- 寒さに強く、貯蔵品として冬の出荷に向く
香美の川 (希少品種)
- 重さ:75g
- 種がきわめて少ない
- 皮が薄く、果汁が多い
- 「豊香のしずく」という特選品がある
祖母の香 (希少品種)
- 重さ:70g
- 種がきわめて少ない
- 皮が薄く、果汁が多い
- 果実に放射状のしわがある
これら大分県産のカボスは1998年に「大分かぼす」としてブランド統一がなされ、2017年には農林水産省により、地理的表示(GI)保護制度に登録されました。
カボスの保管方法
カボスはそのままにしておくと、皮から水分が蒸発し、しなびてしまいます。
青果のまま保存するときは、ポリ袋に入れて密封し、冷蔵庫に入れておきましょう。
2ヶ月くらいなら保たせることができます。
もっと長く保存したい時は、果汁を搾って冷凍させましょう。
製氷器で凍らせると小分けにして使えるので便利です。
これなら1年近く使う事ができますよ。
カボスは時間がたつとだんだん黄色になり、酸味と香りが弱くなってしまいます。
食べても問題ありませんが、カボスはやっぱり香りが命。
上手に保存してなるべく長く楽しみましょう。
カボスの歴史
大分県臼杵市では、江戸時代に宗源という医師が京都から苗木を持ち帰り、植えたのが栽培のはじまりだと伝えられています。
現在も臼杵市内には樹齢200年以上の古木が存在していますが、他県にはこのような古木が見られないことから、大分県が原産だと信じられています。
カボスの栽培が大きく広まったのは1960年代後半からです。
以前からカボスは大分の気候に合い、特産品として高値で売れていました。
そんな時に、国の減反政策によって
「米を作りすぎるな。他の作物作ったら補助金あげるよ。」
となったために、カボス栽培に移行する生産者が多くなり、栽培面積、生産量ともに増加しました。
1980年頃になるとハウス栽培や選果、貯蔵などの設備が整い、県外にも広く出荷されるようになりました。
また、減反政策の時に植えた樹も成樹となり、生産量も大きく増えました。
近年では「つぶらなカボス」をはじめとした加工品も全国で人気が出ています。
カボスの育て方
かんきつ類の中では開花から収穫までの期間が短いので、比較的育てやすい果樹です。
香酸柑橘類の中では寒さに強い方で、-6℃を下回るような寒さが続かない限り、そうそう枯れることはありません。
鉢植えで育てることが出来るので、室内の日当たりの良い場所に置いて育てると良いでしょう。
枝には刺がありますが、切ってしまっても問題ありません。
水は土が乾いたらたっぷりと与え、肥料は年3~4回に分けて与えます。
丈夫で育てやすいため、初心者にこそおすすめしたい果樹です。
カボスの育て方総まとめ!初心者が家庭菜園で実らせるまでの準備と手順⇒
カボスの加工品
ジュースにお菓子に調味料、お酒にアロマにシャンプーまで。カボスを使った加工品は多岐にわたります。中でも特に人気なものを少しだけご紹介します。
つぶらなカボス
夏みかんの果肉が入っており、つぶつぶ食感が楽しいカボスジュースです。はちみつ入りで酸味が柔らかくなっており、ゴクゴク飲めます。
郵便局での通信販売がきっかけとなり、大ヒットとなりました。
(株)ジェイエイフーズおおいたで製造・販売されています。
大分特産カボスぽん酢
カボスのまろやかな酸味と香りが食欲をそそります。お鍋には絶対欠かせません。
私にとってぽん酢と言えば黄色ではなく緑色です。
フンドーキン醤油株式会社で製造・販売されています。
まとめ
いかがでしたか?カボスの魅力を少しでも共有出来ていると幸いです。
他のかんきつ類には無い、まろやかな酸味と香りは、一度試してみる価値ありです!