「カボス」という名前の由来
カボスという名前の由来は、はっきりとは分かっていません。
1709年に刊行された、貝原益軒の「大和本草」という生物学書によれば、
乾燥した皮をいぶして、蚊よけに使った事から「カブス」という名前がついた
そうですが、この「カブス」はダイダイ(橙)の事を指していると言われています。
カボスという名前が初めて文字として登場したのは、第二次世界大戦が終わった後、昭和中期になってからです。
漢字:臭橙・香母酢
臭橙は(カブス・カブチ・しゅうとう)とも読め、ダイダイの別名としても同じ漢字が使われています。
香母酢は「香りがよい酢(果汁)」という意味で、「カボス」の音に合わせた当て字です。
私なら「香母酢」を使います。
ダイダイとの誤用を避けられますし、何より読みやすい。
「母」という文字が入っているのも、地元愛を感じられて良いですよね。
英語名:Kabosu
読んで字のごとくKabosuです。
日本語のローマ字表記を英語として使えます。
ただし、初めて見る人でも分かるように、citrus fruits などの補足を加えると良いでしょう。
学名:Citrus sphaerocarpa hort. ex Tanaka
カボスの学名はCitrus sphaerocarpa hort. ex Tanakaです。
植物の学名は「属名」「種小名」の2つに「命名者」がついた二命名法で表されます。
Citrusは「属名」で、ミカン科ミカン属(かんきつ類)に分類されるという意味です。
Sphaerocarpaは「種小名」で、ラテン語で「丸い形をした果物の」という意味があります。
残りの hort. ex Tanaka が「命名者」となるのですが、田中さんの名前の前に、hort. exがくっついていますね。
hort.は「庭園の」という意味のhortulanorumの略です。
園芸品種として昔から呼ばれている名前はあるけれど、正式には認められていなかった名前に使われます。
exは「~により」という意味で、田中さんが代わりとなって正式な学名を付けてくれたことが分かります。
まとめると、「元々名前はあったけど、正式には認められてなかったから、田中さんが代わりに名付けた、丸い形をしたかんきつ類」となります。
ところで、すだちは「Citrus sudachi」なのに、なぜカボスは「Citrus kabosu」ではないのでしょうか?
もしかしたら、学名を付けた頃には、まだカボスという名前で定着していなかったのかもしれません。
学名を付けた田中長三郎が91歳でこの世を去ったのは昭和51年のこと。
昭和中期までカボスという名前が出てこなかった事と、関係あるかもしれません。
名前の由来が不明という部分にもつながってきそうで、面白いですね。